アイス熱は冬に上昇する

 アイスクリーム(以下、アイスと略します)が好きな人は、97.7%(2016年日本アイスクリーム協会統計による)。ディズニー好きとおなじぐらいの割合ではないでしょうか。国民的好感度がかなり高い嗜好品です。

 ニュースでも、真夏日となった日の気温を伝えるために、その象徴としてアイスやかき氷を食べる人の映像を使うことが多いですよね。

 

 国内のアイスの販売額は2013年、約20年ぶりに過去最高記録を打ち破りました。その後も4年連続で過去最高を更新し続けているようです。岐阜県多治見市や、兵庫県豊岡市、大阪府豊中市、これらは40度越えも珍しくない名物都市ですが、そうでなくてもここ数年の夏場の気温上昇はかなり過酷なものとなってきました。わたしが小学生だったころなんて、プール開きを迎え、夏休みに入っても、たぶん34度を超える日なんて経験した記憶がありません。そう考えると、地球温暖化もかなり深刻な状況というのが実感できますね。5年後、いや3年後の夏なんて、北海道でも当たり前に40度越えしている可能性大ですもんね。

 

 しかし、アイスの売上が更新を続けている理由は、意外にも猛暑とはあまり関係がないようなのです。そう、30度を超えるとクリーミーなアイスではなく、清涼感の強いかき氷などの氷菓のほうが人気を挙げることになります。ということは、比較的暑さの落ち着いている25度前後あるいはそれ以下の気温であるときのアイス市場が需要を伸ばしているということなのです。

 背景としては、冬でも快適温度を保つことができるエアコンが多く普及し(ガスや石油ストーブのようにギンギンに暖かいという感じではなく)、しかもここ数年で住宅の密閉度が上がったため、冬場でもほどよい室温のなかでリラックスしてアイスを楽しむことができるという環境が整ってきたことが大きいという。さらに、アイスメーカー各社が冬ならではの味わいをアイスに追及してきた結果、「冬にしか味わうことができないアイス」というプレミアム感を、うまくアイスにもってくることができたのです。チョコもそうですけど、コク深いバニラとかラムレーズンとかって冬ならではの感じがしませんか?わたしはコンビニとかスーパーにハーゲンダッツのラムレーズンが出てくると、初冬を感じます。ラムレーズンって冬以外は直営店舗でしか出会えませんもんね!

 

 このように日本では、もはやアイスは通年スイーツとして定着を遂げました。アイスメーカーにとっても、冬の需要が増えることにより工場の稼働率が上がり、年間収益の拡大に結び付いているようです。

 お盆を過ぎ、海の家もぽつりぽつりと消え始め、地元の花火大会も終わってしまい、朝晩わずかながら涼風を感じられる時期となりましたが、おいしいアイスに出会えるのは今からなんですっ!

 夏の終わりは本当に名残惜く、胸にぽっかり穴があく思いですが(←夏大好き)、濃厚チョコやバニラ、ラムレーズンのアイスに出会うことを楽しみに、秋に向かいましょう♪