訪日観光外国人の保険事情

 昨年(2016年)の訪日外国人観光客は、2011年の約4倍となる2,400万人あまりでした(日本政府観光局による)。この外国人観光客を対象とした観光庁の調査によると、このうち4%の方が旅行中にけがや病気をし、うち約4割が病院を利用したそうです。そして、このうち全体の約3割の方が旅行保険などに加入していなかったとのこと。背景としては、主に途上国からの旅行者が、旅費をできるだけ抑えるために加入に至らなかったことが挙げられます。

 

 先日、大々的にニュースで取り上げられていた例では、タイから約20日間の予定で訪日していた方が、帰国当日に倒れてしまい、病院搬送されました。血管が詰まり心臓の筋肉が機能しなくなりかけている非常に危険な状態だったといい、約10日間で5回にもわたる手術や治療が必要でした。ご本人は、無事意識が回復し、3か月後には退院し無事帰国されたそうです。

 これだけならとてもおめでたいニュースなのですが、問題はその医療費なのです。治療総額は約1,800万円。この方は旅行保険を掛けていなかったため、とんでもない額に!そこで、タイ国内の友人や有志らが募金を募り、なんとか50万バーツ(約150万円)が集まったのですが、まだまだ足りない分は現在、在日タイ大使館が立て替えているのです。

 

 このようなケースが増えており、大阪府内で回答のあった147病院のうち、昨年5~7月に20機関(27件)で未払いが発生し、その総額は1,500万円超となりました(近畿運輸局の調査による)。何年かけてもきちんと支払う方もいれば、帰国後連絡がつかなくなるケースも多いようです。

 

 日本の旅行会社だと、ツアーの申し込みと同時に保険加入するシステムが圧倒的多数かと思いますが、そうでなくても、海外旅行の際の保険は加入必須ですよね!日本だと救急搬送は無料ですが、国によってはかなり高額となる場合もあるようですし、まだまだ元気だからと軽く見ていても、いつどんな病気にかかってしまうかわからないですからね。

 

 保険業界では、外国人旅行者向けの商品の販売に注力しはじめているようです。

翻訳機能や、病院の紹介、また日本の文化・マナーについてレクチャーが受けられるスマホアプリの提供などの付加価値をつけて、加入を促進しています。

 この分野でも、3年後のオリンピックイヤーに向けてかなりの成長が期待できそうですね!