相続が難解な問題

 どんなに仲のいい兄弟や親せきの間でも、相続が絡むとちょっとした揉め事に発展するケースが多々あるようです。こうしたことを想定して、わが子たちが揉めないよう元気なうちからはっきりと財産の分け前を設定しておくため、遺言書の作成をされる方もおられます。やはり、多少面倒ではあるし、あとは自由にやってくれという思いもあるかと思いますが、自分のいなくなったあとも、みんな仲良く生きていってもらうために、きちんと「始末」をつけることも大切なことだなと、切に感じております。

 

 これはある一軒家のお話ですが、ビルや高層マンションが立ち並ぶ一等地に、歩道が狭くなるところがあるそうです。その原因は、所有者不明の空き家が建つ土地が突出しているためで、その歩道の大部分をふさいでしまっているのです。しかもこの空き家の状態は、かなり劣化していて、屋根や壁は崩れかけているそうで、近所の住民の方々もいつ崩れ落ちるのかと危険を感じながら通行しているようです。

 問題のこの土地が最後に登記されたのは明治30(1897)年。関係者によると、当時の名義人が亡くなったあと相続登記がされないまま120年余り経ち、子・孫・ひ孫へと代替わりするたびに法定相続人が増えた結果、現在その数はなんと約60人にもなるという!これは桁違いの相続人数で、関係図作成にも何か月要することやら!なかに国際結婚された方とかもいたりしたらどんな関係図ができあがるのか!ちょっと興味深いな・・・とか思ったりしております。

 この相続人のひとりである現在90代の女性は、結婚前にここに住まれていたそうで、当時相続登記をきちんとした方がいいという話し合いの場を持ったこともあるそうですが、話がまとまらないまま流れてしまったようです。ほんとに、一度機会を逸するとその後ズルズル・・・みたいなことは相続登記に関わらずよくあることです。

 この空き家はその後どうなっているかというと、現在もそのままだそうです。しかし、歩道になかり出っ張っていることに加え老朽化も加速しているため、自治体が税金で安全策としてまわりにフェンスを設置しました。本来なら所有者が何かしら対策を投じるものですが、この件に関しては所有者が多すぎてゴールが見えないため、とりあえず自治体がなんとか保っているようです。今後の解決策にかなり興味津々です!

ちなみに、この土地を売れば億単位だそうですわよ。

 

 わたしはこの記事を知ったとき、ちょうど身内の相続登記を(※業務ではなく個人として)進めていたため、かなり身に染みて相続登記の重要性を感じていました。うちなどはスタンダードかつシンプルな構成になっているため、かなり基本的な作業のみで申請完了できたのですが、これだけ複雑に相続人が絡んでくると、もうどうにもまとまりようがないですよね。何か画期的な行政代執行的なルールの適用がない限り・・・。

 あともうひとつ、なかなか相続登記に踏み切れない理由は、登録免許税のこと。いくら必要になるのかを考えると、恐怖&恐怖ですよね!?さらに司法書士さんに頼むとすると報酬額も必要になってきますしね。

 今回自分で申請手続きを経験してみて思ったことは、そんなに難しい作業ではないこと。書類を揃えることに関しては、ちょっと時間や手間もかかってはきますが、そこさえ乗り越えて被相続人と各相続人の戸籍謄本や各相続人の住民票、固定資産評価証明書、このあたりを揃えて法務局へ相談に行けば、申請書や必要文書の書き方(各サンプル文書を頂くことができました!)、足りない書類などをかなり親切に教えて頂けますし、わたしの場合は、登録免許税の計算までお任せしてしまいました(数学が苦手な傾向にありまして・・・)。

 

 今すぐに相続が必要でなくても、不動産に関しては、のちのち身内だけでなくご近所も絡む大きな問題を抱えることも考えられるため、現時点での所有者確認や、各法定相続人の現状、固定資産の評価額、できればそこから登録免許税の算出も将来の練習がてら行ってみると、書類の集め方や必要費用についても心構えができますし、登記についてちょっと身近に感じることができると思うので、おすすめです。

 相続による名義変更の登記申請を終え、ちょっと優越感に浸るわたしからのアドバイスでした(@_@)