美容と医療の狭間。

 「SNS」や動画共有サービス「YouTube」の普及により、美容系の情報を発信する方が増えてきました。デパコス・プチプラコスメ・神美容液などなど・・・これらの情報は、数十年前ならデパートのコスメカウンターや美容雑誌などから自分の足で、目で、仕入れてこなければなかなか手に入らないものでした。ところが、昨今では人気モデルやタレントばかりでなく、一般素人の発信する情報でさえもあれこれと氾濫し、家にいながらにして多くの情報を手に入れることができる時代となりました。そんな中で、とくに美容系情報は多くの女性の興味を引き付けて止みません。このような背景から人気に火が付いた商品は、例えばニベア(青缶の)・ベビーパウダー・ベビーオイルなど。これらはいずれも、小さいころからみんなが知っている定番商品でしたが、それぞれの用途を超えた活用方法が話題となり、現在売り上げを大きく伸ばしている商品たちのようです。

 

 ニベアといったら、かさつく手や足に塗るものだと思っていませんでしたか?これがとある情報によると、某高級美容クリームの成分と似ているらしく、スキンケアのお手入れの最後に美容クリームとして使えるんです!ベビーパウダーって、赤ちゃんのあせも予防に使うものだと思っていませんでしたか??これもとある情報によると、ナチュラルメイク時の仕上げパウダーとして使うと、軽い使用感と自然な仕上がりがとてもいい感じなんです!ついでにベビーオイルって、赤ちゃんの乾燥気味のお肌に塗りぬりしてあげるものだと思っていませんでしたか???これは、ヘアーセットする前に髪に馴染ませておくと、髪のまとまりが良くなりアレンジの助けにもなって、しかもツヤツヤうるうるの質感が出せるんです!もうお気付きかもしれませんが、わたしもこういう情報大好きなんですっ。

 

 そんな中で今回話題になっていたのが、主にアトピー性皮膚炎などアレルギー性の皮膚炎によく処方される「ヒルドイド」という軟膏(と、その後発医薬品「ビーソフテン」)です。これは1年ほど前からだったか、やはり先に書いた情報源から発信されたもので、「保湿効果抜群の美容クリームとして使える♪」と話題になっていました。これを一般で購入すると約1000円するところが、医師から処方されると自己負担額約350円で手に入るのだそうです。これを知ったらもう、ちょっとしたカサカサを訴えて皮膚科に行きたくなってしまいますよね。

 ところが、健康保険組合連合会が平成14年10月~平成16年9月のレセプトを調べたところ、平成14年からの1年間と平成15年からの1年間との差について、女性への単体処方の件数が2203件(14.6%)増だったということです。(男性については1.8%増)もうこれは明らかに、本気医療の域を超えた使用ですよね。

 厚生労働省はこうした現象を重くみて、「ヒルドイド」の処方に一定の制限をかける方針を固めたようです。医師が一度に処方できる量に上限を設けるなどし、不適切な保険の使い方を減らして医療費を抑えることを検討しています。

 

 実はわたしも持っています!ヒルドイド。3年に1回ほど、夏になると日光によるアレルギー反応のようなものがでるのですが、ちょうど今年の夏にそれを発症し、皮膚科でヒルドイドを処方してもらいました。かゆみも伴っていたので、そのための飲み薬とヒルドイド軟膏を2本。心の中で「やったー♪」と思いました。あの噂の(!)ヒルドイドを思いがけず手にすることができたもので・・・。

 こんな感じで、一度に2本も大盤振る舞いしてもらえることはこの先もうなくなるのでしょう。よほど重要な症状でない限り。インフルエンザワクチンのように必要な方に優先的に提供しなければ、本当に必要な方の手に入らなければならないものですもんね。そして美容目的の場合は、自腹を切らなければね!

 手元にある残り1本の軟膏。アレルギー症状は1週間ほどですぐに治まったので、丸々1本は開封せずにとってあったのです!これ、大切に使い切ります。