外国人向けの避難誘導をやさしい日本語へ

 訪日外国人の急増に伴い、また3年後となった東京オリンピックからのインバウンドを見込んで、災害が起こった場合に外国人にも分かりやすい日本語で誘導ができるように、総務省消防庁がその指針づくりに取り組んでいます。駅やホテル、競技場などで避難を呼びかけるときの説明や誘導を想定した内容です。

 

 やさしい日本語とは、来日1年の外国人が理解できる程度が目安となります。例えば、「広い範囲で強い地震がありました」これをやさしく変換すると→「大きい地震がありました」(要点のみにする)。「重体の方はいませんか」→「命が危ない人はいませんか」。「注意する」→「気をつける」。「危険」→「あぶない」。「消火する」→「火を消す」。「避難所」→「逃げるところ」など。一文を短く、話すときはゆっくりはっきりとが原則なので、混乱時には日本人にとっても分かりやすいという利点もあります。たとえ日本語のわからない外国人に直接伝わらなくても、理解できる人が周囲に翻訳するか、正しい情報で避難を始めた人に追随してもらうことを想定しています。また、伝える側についても、外国語の習熟度にばらつきがあるため、あやふやなぎこちない外国語で呼びかけてもかえって不安を煽ることになりかねないため、そのための対応策にもなっているようです。ちなみにアメリカの警察官や消防士は、平易な英語を使うように普段から訓練を受けているそうです。

 

 ちょっと話題がズレますがアナウンスといえば、地下鉄新大阪駅のトイレ付近から、周囲に人の気配を察知すると乗り換えについてのアナウンスが流れてくるのですが、これが密かに関西弁だったのです!地元のわたしにとってはあまりに自然な耳慣れたイントネーションだったためか、このことに気付くのにかなりの時間がかかりました。旅行先や出張先で、その地の方言を耳にするのは新鮮だし気分も盛り上がりますよね。また、日本一長い商店街とされる天神橋筋商店街には、日本人観光客ばかりでなく外国人観光客も多く訪れるのですが、ここでも通行時のマナーについてアナウンスが流れていて、これがなんと落語家の声なんです!この商店街内に繁昌亭という落語の定席がある関係からかと思われますが、あの”もっちゃりした”落語家独特の口調が流れてきたら、なんだか楽しい気分になってしまいます♪きっと他の場所から訪れた方にとっては新鮮なイントネーションとなり、より心に響くのではないでしょうか。

 

 このように、普段なにげなく聞き流している公共機関や施設などでのアナウンス。まぁ、これらは通常時のガイドとして設定されているのでちょっと違うのですが、これが非常時となれば、その場にいる関係者が生の声で避難を誘導する貴重な道標の役を果たすことになります。誰にもわかりやすく簡潔に、かつインパクトある表現で。意外にも、とっさのときには難しいものです。これは外国人に対してだけでなく子供についても同じように思います。普段はちょっと背伸びをして、意味がわかっていなくても大人のマネをして難しいことばを使ったりしていますけど、本当のところは、正しく理解していないことも多々あるのです。塾や習い事、または私立に通う小学校低学年ぐらいの児童がひとりで電車に乗っている姿をよく見かけるので、こうした子供たちのためにも日頃からやさしい日本語の案内をしていただければいいなと思いました。