"prenuptial agreement" (prenup)
結婚前の男女が、あらかじめ結婚後の生活などについての取り決めを書面で交わすこと。またその書類。
財産分与や離婚の条件、家事の分担などについて取り決めるのが一般的。(コトバンクより)
というものです。日本ではまだ浸透していませんが、海外では多くのカップルに活用されています。その心は、「もしもこの結婚がうまくいかなかった場合でも、自分の権利や財産は守れるように」というところ。特にアメリカのハリウッドセレブの間では常識のようですし、さらにフランスではこれより多い25%ものカップルがこの契約を結んでいます。(これの逆にあたるものが「離婚約誓約書」になります)
利用者である「ハリウッドセレブ」や「フランス人カップル」というところに、個人主義の考えが根付いている国の特徴が出ていますよね。
そこから考えると、この日本でもどんどんこの契約書を浸透させた方がいいとわたしは思っています。
事実婚、週末婚、別姓カップル、未婚の母や父子家庭、LGBTというカテゴライズ・・・。今後、これまでの法律のなかでは息苦しく感じるカップルや家族の形が増えることは確実です。また、昨今の晩婚化の一因とされる「ひとりでも楽に自由に生きていける」という環境。キャリアを持つ女性が増えるということは、ある程度の年齢になるとそれなりの財産を所有しているということでもあり、結婚後にこうした財産をどう守っていくかと考えることも大切な問題です。あるいは、出産やお互いの親の介護などで家族構成が変わったり、リストラや災害などでどちらかが職を失い生活基盤が変わったとき、なにか指標となるものをあらかじめふたりで作成しておくことは、耐震補強のついた心強い礎(いしずえ)となること間違いなしです。
「婚前契約書」。
堅苦しい名称ですが、気楽に考えてください。「契約書」としての決まりごとを守ることは必要ですが、その内容は「公序良俗」や「強行法規」に触れなければふたりの合意のもと自由に決めることができます。
きちんと体裁を整えておけば、もしも裁判となったときに証拠として認められるものでもあります。
このPart1では最後に、契約書を作成するにあたってのポリシー条文をご紹介しておきますね。
☆民法第90条
(公序良俗)
公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。
(たとえ当人同士が良かれと思ってきめたことでも、常識的に考えてダメなことは無効)
☆民法第754条
(夫婦間の契約の取消権)
夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。(但書き略)
(結婚後に夫婦で交わした契約は、どっちかが言い出したら取消もOK!)
この2条をよく心に留めておいてくださいね。
そして、婚前契約が必要と考える理由は、そこに第754条があるからです。婚姻中の契約は、こんなにも簡単に無効になってしまうのです。その点、結婚前ということはお互いにまだ「他人」なので、その時点で交わした契約のほうが取消しが効かなくなるのです!
鮮度保持はクレラップ、愛情保持はプレナップ!
これを2018年のスローガンとし、詳細は次回のPart2でお話しさせてください。