ついに!大阪の裁判所でも来庁者に持ち物検査実施。

 大阪の高裁、地裁、簡裁でも今月9日から来庁者を対象に所持品検査が実施されることになりました。

裁判所に行くたびに何となく思っていたのですが、あまりにも部外者が簡単に入ることができてしまうので、案件によっては命の危機を感じる弁護士さんも少なくないのではないかと・・・・。わたしが法律事務員をしていた数十年前には1Fロビーにハトがよく飛んでいましたからね。このハトの規制まではどうかわかりませんが、やっと所持品検査が導入されるようです。東京や札幌などに続き、仙台でも今月から実施されることになりました。

 

 しかし、この導入には反対意見もありました。プライバシー問題の観点から、その人権を侵害する危険があるとして仙台弁護士会と大阪弁護士会それぞれが反対の意見書(申入書)を提出していました。

この問題にかかわらず、監視カメラの過剰な設置や警察が捜査過程で用いるGPS探索など、かなり慎重にあつかわれている「プライバシー権」です。

 

 この「プライバシー権」、そもそも誕生したのは、最近のことなのです。

根拠となるのは、憲法第13条の幸福追求権です。←すべて国民は個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

幸福追求という拡大解釈しやすい文言により、あらゆる権利を主張しやすくなっているとも言えますね。

この第13条は「新しい人権」とも解釈されており、ここ数年の急激な社会変化に対応するべく、その具体的な権利として「プライバシー権」、「環境権」、「日照権」、「眺望権」、「知る権利」、「自己決定権」などが導き出されています。そのため、第13条を盾にあらゆる権利の主張を認めているとたいへんなことになってしまうので、この扱いには裁判所も慎重に判断しているようです。

 

 もともとアメリカでは、プライバシー権とは「そっとしておいてもらう権利」として判例から発展してきたものであり、古くから私法上の権利として人格権の一部と考えられ保護されてきました。しかし、近代では、社会の情報化の進展にともない、「自己に関する情報をコントロールする権利」と解釈されるようになってきました。日本でのプライバシー権も同じように解釈されることが多いですよね。

 

 持ち物=かばんの中身。これはプライバシーそのものなので、突然チェックされるとなるとやはり恥ずかしい気持ちになるし、なんでそこまで・・・と思うこともあるのは当然です。でも、裁判所も結構危険がいっぱいの場所なんです。実際に法廷の場に刃物が持ち込まれた事件も数件ありますし、過去には裁判員が「脅し」まがいの行為を受ける事件もありました。こうした危機を少しでも防御するためにも、所持品検査はその有効な手段のひとつだと思います。

 

 これを機に、あらためて権利とはいろいろあるものだと実感した次第でございます。