Part1では、ざっくりとプレナップの概要をお話ししましたが、今回はさらに詳細をご紹介して参ります!
[プレナップを作成することのメリット抜粋]
1. 文章で表すことにより、具体的に結婚生活のシュミレーションができる
2. お互いの価値観を改めて認識できる
3. 財産や子、親のことも含め、より現実的なイメージができる
4. 同じ方向に向かい、将来を構築するという自覚ができ、歩み寄りの精神が芽生える
これらを総合すると、ふたりのコミュニケーションが一層深まり、「こんなはずじゃなかった」という離婚要素を事前に回避することができるのです。
離婚問題の多くは、その背景にパートナーとのコミュニケーション不足があります。
パートナーとの会話がないということは、その本心を理解できていないということ。
このような状況だと、たとえ仲を修復しようにも、そのための話し合いの場を持つことすら億劫です。もう、相手の耳たぶの裏を見るのもイヤ!という状況に陥ってしまったら手遅れなのです。
こうした状況を回避するための「婚前契約」でもあります。
(これを書いたとき、ふたりでたくさん話し合ったな)(この一文を決めるとき、こんな気持ちだったな)など、ひと時でもそのときのことが甦ったなら、もういちどふたりで足並みを揃えてみようという気持ちに切り替わることも見込めるのです。
[形式と内容について]
契約書の体裁をとるためには、第1条、第2条というように条文の形にまとめます。
ですが、堅苦しい内容にしなければいけないわけではありません。内容に決まりはなく、前回お話したとおり公序良俗に反しなければふたりの合意のもと自由に作成していいのです。
たとえば、
「互いを尊重し、支え合い、生涯惜しみなく愛を注ぎます」
「暖かい家庭を築き、共に困難を乗り越えます」
「服装の趣味についてお互いに介入しません」
「1ヵ月以上喧嘩が続いた場合は、冷却期間を設けるための別居を選択できるものとする」
「甲(夫)の趣味である電車の写真は、自分の部屋のみに飾ってよいものとする」
「離婚した場合、離婚原因を発生させた者が相手方(甲又は乙)に対し、結婚年数×100万円の慰謝料を支払うこととする。ただし、その掛金は収入の変化に応じて話し合いの上変更することができる。」
など、おふたりならではの「約束ごと」を文章にするだけでOKなのです。
「約束ごと」と考えれば、気軽に楽しみながら話し合うことができると思いませんか?
もちろん、さらに踏み込んで財産の管理方法や、子供の教育方針について、また親の介護や同居についての取り決めもきちんと刻んでおくと、その分契約書としての効力(※)も高まります。(※もしも裁判となったとき、有力な証拠として認められます)
以上のように、こうしたことをきちんと話し合わないまま結婚生活を迎えるカップルが多いようです。
「夫婦になってから自然にルールを決めていく」。たしかにそういうところが大きいかと思いますが、離婚カップルの現状を調査していると、「うやむやな話し合いのまま、なぜか義両親と同居するハメになった。こちらにも高齢の両親がいるのに!」や、「仕事を続けていいと言っていたのに、束縛がひどく家事もほとんど手伝わない。これでは思い切り仕事に打ち込むことができない」、または「趣味があることは知っていたけど、ここまで家庭を犠牲にして資金や時間を費やすとは思わなかった」などという具合に、「結婚前の理想」と「結婚後に迎える現実」とのギャップを痛感される方のなんと多いことか!
結婚前にもっと腹を割って話し合っておけば、ここまで「がっくり」or「カチン」となることはなかったはずです。
[ぜひとも話し合っておいたほうが良い項目]
1. 夫婦のあり方(総則)←理想の夫婦像について具体的に
2. 仕事や家事←分担方法や、もしも失業したときの心構えや生活維持の対策など
3. 子育て←妊娠や出産時のサポートについて、園や学校行事の参加についてなど
4. 財産←お互いの貯金や所有物について、マイホーム購入に向けての資金づくりについて、現在ある借金の返済について(完済目標)など
5. 親、親せきについて←同居の可能性(タイミング)、介護が必要になったときのこと、相手に知っておいてほしいこと(実はクセの強い親せきがいる etc.)など
6. 趣味や好みについて←趣味についてどれだけお金や時間をかけたいのか(早い段階で了承を得ておくと、結婚後も気兼ねなく趣味を続けやすい)、食についての要望など
7. その他←ペットや持病、喫煙についての約束事など
[作成するときのポイント]
・ どうすればお互いが気持ちよく暮らせるか
・ 常識の範囲内であること(公序良俗に反しない)
・ お互いに合意した内容であること
[無効な内容]
・ 離婚後の子供の親権について←父母側の事情(将来の養育環境、これまでの養育状況など)と、子供側の事情(年齢、子供自身の意思)から判断されるため
・ 相手の相続について←法律で決まった方法があるため、たとえ「夫の親が亡くなったとき、夫と妻で1/2ずつ相続する」という内容を自分たちで決めても効力はありません。(これは遺言書の分野になります)
・ 夫婦以外の第三者(親や兄弟)についてのこと←「婚前契約」は、あくまでも〝ふたりのこと”についてです。
反対解釈をすると、ふたりのプライベートな決め事なので、当事者以外にこの契約書を公開しない方が良いでしょう!こう意識することで、もっともっと親密な話し合いができることでしょう。
次回Part3では、「婚前契約書」実例文をいくつかご紹介します。
鮮度保持はクレラップ
愛情保持はプレナップ
新年に愛を誓い合ったカップルのみなさん、ぜひプレナップを活用しましょう♪