これまでは、組合等登記令3条3項により、毎事業年度終了後3ヵ月以内に、財産目録に通常代表者の証明を付記し、法務局において資産の総額の変更の登記をすることが義務付けられていました。
今回の改正により、その資産の総額の登記が不要となります。(平成30年10月からの見通し)
そのかわりに、毎年貸借対照表を公告することが義務付けられることとなりました。
この貸借対照表の公告方法とその施行日を定めるために、原則、すべてのNPO法人において定款変更の必要があります。(ただし、所轄庁の認証は不要)
公告方法は、次のようなものがあります。
⁑電子公告(当該法人のホームページのほか、内閣府NPO法人ポータルサイトの法人入力情報欄に掲載することも可)・・・作成の日(総会で承認を得た日)から起算して5年が経過した日を含む事業年度の末日までの間、継続して公告する
⁑官報に掲載する方法・・・1回かつ要旨(千円単位など)で可
⁑○○(都・道・府・県)において発行する○○新聞に掲載する方法・・・1回かつ要旨(千円単位など)で可
⁑主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法・・・1年間必要
このように、貸借対照表の公告については法定化されておらず、定款に定める方法でよいため、費用のかからない方法を選ぶのがおすすめです。なお、その他の公告については官報への記載が法定化されているものもあるので、これから定款作成をされる方は注意が必要です。
【重要ポイント】
⁑3月決算の法人の場合、さっそく次回の定期総会にて決議を行ってください
⁑平成30年10月1日施行の場合、平成30年9月30日までには総会を開いて定款変更の議決をし、その後遅滞なく所轄庁へ「定款変更届出書」を提出してください。
変更の理由は、「NPO法の改正に伴い、貸借対照表の公告の方法を定める必要が生じ、その方法を定めたため」とします。
【定款変更届出にかかる提出書類】
1.定款変更届出書(様式あり)・・・1通
2.議会議事録の写し・・・1通(議案には「定款変更の件」と明記する)
3.変更後の定款・・・2部(附則に、「この定款は、平成○年○月○日(総会の日)から施行する」と記載する)
この貸借対照表の公告だけでなく、NPO法の改正については2016年からますます機能的に進められてきましたね。さきほどの公告方法のなかでちらっと出てきましたが、2016年6月7日からの施行で、「内閣府ポータルサイト」の活用が努力義務となりました。このサイトを活用し、NPO法人の信頼向上のため、所轄庁およびNPO法人が積極的に情報を公表するように図られたものです。
また、2017年4月1日からは、認証申請時の添付書類の縦覧期間および補正期間の短縮と、事業報告書等の備置期間および閲覧期間の延長が施行されました。
このように、NPO法人の急成長にあわせ、より一層の社会的信頼性の獲得と、事務軽減のためのあらゆる措置が法改正により飛躍的に進められています。昨今では、大学の講義でもNPO法人運営論・組織論・経営学などが取り入れられていて、就職活動中の学生にもNPO法人の人気が上々のようです。また、設立も比較的簡単なことから、こうした若い世代からシニア世代まで、あらゆる年代にやさしい法人形態といえますね。
最後に、NPO法人とは、日本語で「特定非営利活動法人」といいますが、これは「儲けてはいけない」ということではありません。「営利を目的としない」という意味であり、活動に伴い剰余金や利益が生じても構成員(役員や社員)にそれを分配しないということです。(特定非営利活動に係る事業に支障のない限り、特定非営利活動に係る事業以外の「その他の事業」として、利益を目的とした事業を行うこともできます)
利益がないのにどうやって活動しているのか?このような不思議な法人というイメージをもっていたのは、この業界に入る前のわたしだけでしょうか????