時代をさかのぼれば、夫婦が同じ氏を名乗るということが定着したのは、明治時代からのようです。
戦前の民法(明治31年施行)では、戸主と家族は家の氏を名乗ることと定められていたため、ここから夫婦は同じ氏を名乗るという制度が誕生したのです。
ちなみに、明治時代より前は、庶民が氏を名乗ることは許されていませんでした。
そして、昭和22年改正民法成立により、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」(現行 第750条)と定められることになりました。
戦前の旧民法では、夫婦ともに「家」の氏を称するとされており、「家」の制度を導入するという意味合いがありました。しかし、改正民法では夫婦同氏制の原則を維持しつつも、男女平等の理念に沿って、「夫又は妻の」という氏の選択が実質可能となったのです。とはいえ、夫の氏を名乗る夫婦が大多数であり、妻の氏を名乗ることに抵抗があるという男性の意見も少なくありません。
これ以降、第750条「夫婦の氏」については改正がなく、時代の流れとともに仕事を持つ女性が増え、結婚により苗字が変わることの社会的不便や不利益が頻繁に訴えられるようになりました。
こうしたことを背景に、法務省では約27年前から婚姻制度等の見直し審議を行ってきました。
この間、何度か「選択的夫婦別氏制度」を盛り込んだ改正法案が検討されてきましたが、国民のあいだで様々な意見があることから、いずれも導入が見送られてきました。
最新の世論調査では、この制度を容認する回答が過去最高の4割超となりました。
この回答方法は3択で行われ、「容認」42.5%、「不要」29.3%、「同じ姓を名乗るべきだが、旧姓の通称使用を認める」24.4%との結果に。しかし、法務省は、不要と通称使用を合わせると53.7%と依然容認を上回ることを指し、今後も慎重に検討していくとの回答でした。
法改正はまだまだ先のことになりそうですが、それでもじわじわと旧姓現存の場面が広がってきています。
オフィスでは、通称として旧姓を名乗ることは珍しくなくなってきているし、公的機関でいえば、銀行によっては旧姓を使えるところもあるのです。今後の動きとしては、マイナンバーカードや住民票は、個人の届出があれば旧姓の併記が可能になり、またパスポートについても同じく併記が可能となる見通しです。
マイナンバーカードの旧姓併記については、そのシステム改修費用に100億円の予算案を計上したことで、法改正をすれば回避できるのに、、、との声も上がっていましたね。今年度中に併記を実現されるようですが、予想以上に膨大な費用がかかるのですね!
夫婦別姓は、家族制度にもかかわってくる問題であり、その反対側には事実婚の問題もあるわけで。
すべての人が、キラキラ生き生きと尊重されながら輝くべき「一億総活躍社会」を迎えるためには、、、、
もう庶民は全員ニックネームでよくない???
「明治時代以前に回帰案」 (完)