18歳からできること~民法改正案~

 さて、改正後には18歳になると以下のことができるようになります。

・親などの同意なく、クレジットカードの作成や、ローンを組むことができる

・有効期限が10年のパスポートを取得できる(現行、未成年は5年のみ取得可能)

・性適合手術

など。

 

 なお、結婚できる年齢は男女ともに18歳となり、女性は現行の16歳から引き上げられることになります。

 そして、これまでと変更なく20歳からとされるのは、飲酒・喫煙・養親(普通養子について)となることなどです。少年法の適用年齢については、維持か引き下げかはいまだ議論が続いているようです。

 

 2016年、ひとあし先に選挙権が18歳に引き下げられたこともあり、18歳成人説がやや浸透している感もあります。ですが、こうして「できるようになること」を眺めていると、これからの18歳は、18年間生きてきたその経験の中から、かなり重要な判断をこなさなくてはならなくなるのだなぁと感慨深くなります。例えば、ローンを組むこと。ローンを組むということは、たいていの目的は高額な商品を購入するということなのでしょうが、きっと18歳のころのわたしなら、返済できるかどうかが不安で、そんな勇気は持てなかったでしょう。

 

 また、大きな決断といえば、18歳から性適合手術が受けられるようになることです。生まれながらの性に違和感を覚えるのは、早くて幼児期からといわれています。その悩みは年齢を重ねるにつれ大きくなり、小学生になると、水着の形が嫌だからと水泳の授業を受けられない児童も多いようです。このような苦しみを解決できる一つの方法として、適合手術を一刻も早く受けられるようになることは歓迎すべきことかもしれません。

 法律の中に、「性別の取扱いの変更の審判」という項目があり、その該当条件のひとつとして、適合手術を受けていることが挙げられています。手術が叶うということは、今後この性別の変更の審判も早期に受けられるようになるのかもしれません。

 

 ところで、この適合手術については、受けた後に後悔する人も少なくないといいます。ちょうど先日、戸籍上の性別を変更したが、変更は誤りだったとして取り消しを求めた裁判がありました。

 申立人は、自らを性同一性障害だと思い込んで精神科を受診するようになり、2011年に性別適合手術を受けました。その後、国内の医師2人から性同一性障害との診断を受け、「性別の変更を認める特例法」に基づき、この審判により性別の変更を認められました。しかしその後、「そう思い込んでいたのは誤りだった」と後悔するようになり、日常生活も元の性別で送るようになっていたそうです。そして、昨年6月に変更の取消を求め、家裁に本件の申立てをし、当初診断した医師の一人が、「本人が強く思い込んだことで誤診した」との意見書を家裁に提出しました。家裁は、この意見書を根拠とし、変更を認めた審判を取り消しました。

 

  先に出てきた「性別の変更を認める特例法」は、第2条で、性の違和感について、「生物学的には性別が明らかであるにもかかわらず、心理的にはそれとは別の性別であるとの持続的な確信を持ち、かつ、自己を身体的及び社会的にほかの性別に適合させようとする意思を有する者であって、そのことについてその診断を的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師の一般に認められている医学的知見に基づき行う診断が一致しているものをいう。」と定義しています。これは、こうした性別の自認は「揺るがない」ことを前提にした定義であり、このようにいったん変更された性別は、再びもとに戻すことを想定されていません。ですが、本人の今後の社会生活のため、一定の条件下で変更を取り消すことも必要であるとされました。

 

 このように、性別の変更については、本人の自覚だけでなく、成人に達していること、適合手術を受けていること、婚姻をしていないこと、未成年の子がいないこと、厚生労働省令が定める事項が記載された医師の診断書が提出されることなど厳しい条件を乗り越えて、やっと認められるものであります。ここを乗り越えてまで変更を決意したとしても、「やっぱり違った」となる人もよくいると聞きます。

 この中の条件でもある適合手術。これを18歳から受けられることは、かなりたいへんな決断を早くからできるようになるのだなと、思いました。

 

 少し早く大人になるこれからの18歳。いろいろと抱えるものも大きくなるのだなぁ・・・・Fight!