NPO法~20歳の栄光~

 NPO法が成立する以前から、公的な活動を行う公益法人の種類として財団法人や社団法人がありましたが、官庁による許認可制であり、その縛りも大きかったようです。そのため、単なる市民活動団体はさらに法的な地位を得ることが難しく、活動拠点となる不動産をかりるのにも、銀行口座を開くのにも苦労していました。

 

 そのような背景を経てNPO法が成立して間もなく、1995年に阪神大震災が発生しました。復興支援のために各地から多くのボランティアが被災地入りし、市民の力でさまざまな救助活動に取り組む様子が注目されたのです。ここで「ボランティア元年」という言葉が誕生し、市民の力は素晴らしいという方向に転換し始め、90年代後半から2000年代にかけて、規制緩和や非営利の力を活用した社会システムが盛り上がりを見せました。

そして、2001年にはNPO法人への寄付控除制度が実現しました。

 

 2011年3月、NPO法成立から2度目の大規模な震災を迎えることになります。未曽有の災害と呼ばれる東日本大震災です。大きな津波に襲われた町は、絶望的な景色に変わり果てていましたが、そんな中、多くのNPO法人がさまざまなアイデアやSNS情報発信などを駆使して復興支援に力を尽くしました。ボランティア元年から時を経て、市民の力はNPO法人として発展を遂げていたのです。そして、このときの実力が認められ、寄付税制の大幅な拡充につながりました。

 

 当初、NPOといえばボランティア団体というイメージが強かったのですが、いまでは「事業型NPO」といって、活動から収益を得る団体も増えています。いまでは大学生にも人気を得て、在学中から起業する人もいるようです。就職と同じように、NPOの起業が選択肢のひとつになってきたといえます。また、定年を迎えたシニア層や、家庭や子育てなどを両立している主婦層にも活動しやすい環境なのです。

 

 いまや組織数は5万超となりましたが、資金面では苦労しているところも多いようです。調達源としては、ふるさと納税を活用したり、クラウドファンディングで寄付を呼びかけたりといったところ。

 そんな中、来年度から「休眠預金活用法」の制度がはじまることになりました。金融機関に10年以上預け入れられたまま動きのないお金について、民間公益活動を促進するための資金として生かされる制度です。休眠預金は年間約700億円発生しており、これまでは金機関の収入となっていました。この制度の成立により、年約500億円がNPOなどの活動資金として充てられることになります。

 

 NPO法誕生から20年、ふたつの大きな震災をきっかけに、社会貢献の理念のもと市民の力とその実力を証明し続けてきたことで、その存在感を高めてきました。この休眠預金活用により、支援策がまたひとつ増えることになります。この波に乗り、今後さらにいろいろな補助が受けられるようになるのか期待が高まります。