化粧品作りも許可が必要です!~「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」の世界に見る“業際”~

 化粧水や石鹸を自分で作ったことのある方も多いかと思います。

とくにアロマオイルやハーブに興味をお持ちの方は、絶対に作りたくなりますよね!私も一時アロマオイルエステのスクールにいたので、様々なオイルを調合し、保湿液やローション、蜜蝋を加えて石鹸などをよく作っていました。そして、肌悩みのある方などにプレゼントしたりしていました。

 

 ですが、こうした手作りの化粧品、たとえうまくできたとしても勝手に販売してはいけないのです。

販売しようとするなら、「製造の許可」と「販売の許可」を厚生労働省から取得しなければならないのです。

 

 この化粧品製造販売許可を得るには、まずヒト・設備環境をきちんと整える必要があります。

申請者本人には一定の欠格事由がないことが条件ですし、「統括製造販売者」を必ず設置しなければなりません。そして、統括製造販売者にも薬剤師または薬学or化学専門課程修了などの人的要因が必要です。製造する環境は、もちろん清潔で整った場所を確保しなければなりません。これは「GQP」や「GVP」と称される、医薬品・医薬部外品・化粧品などの品質管理や製造後の安全管理を規定した省令に従うことになります。

 

 このようなきちんとした審査を通り、やっと私たちの手元に信頼のおける化粧品として届けられるわけです。

 ところで「化粧品」とは、いったいどういうものでしょうか。ただただ、肌につけるもの、もしくはメイクに使用するものという認識が一般的です。これについて、医薬品医療機器等法第2条第3項によると、「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第1項第2号又は第3号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く」と規定されています。そう!この最後にさらっと触れている「医薬部外品」との境目がややこしいのです。

 

 一般的なスキンケア用品は、薬事法により「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」のどれかに分類されます。

まず、「医薬品」は、病気の治療を目的とした薬のことで、配合されている有効成分の効果は厚生労働省が認めたものです。つぎに、「医薬部外品」とは、厚生労働省が許可した効果と効能に有効な成分が、一定の濃度で配合されています。そのため、「にきびを防ぐ」「シミを防ぐ」「皮膚の殺菌」などと、はっきり効能を訴求することができるのです。そして、「化粧品」とは、先の規定にあったように医薬部外品と比較し、さらに効能や効果が緩和されたものになります。なので、「清潔にする」「健やかに保つ」「潤いを与える」などのように、訴求メッセージもやんわりとさせておかなければなりません。ちなみに、この化粧品の効能効果の範囲という表が、各都道府県の薬務課的な部署にきちんと置かれています。

 

 私たち行政書士でいうと、「登記」を行うことができない(→司法書士へご案内)、「紛争性のある事件」は扱うことができない(→弁護士へご案内)という決まりがあり、俗に、超えてはいけない「業際」といいますが、医薬品・医薬部外品・化粧品の世界にも同じような「業際」があるのだなと思った次第でございます。ベンベン。