細胞レベルに働きかける注目成分「プロテオグリカン」~美容成分の新常識~

 コラーゲン、ヒアルロン酸、レチノール。

 肌のハリ・潤い・キメ補正に働きかける成分として、これまでの弾力系美容液はこのあたりの含有が主なものでした。

いずれも「肌の奥までしっかり届く」という訴求メッセージとともに、ハンドプレスでしっかりと肌に浸透させること。または、サプリメントや美容ドリンクとして内服するもの。同じ成分でもそれぞれを内外からダブルで採る方法が、一歩進んだ美容法として活用されてきました。

 

 しかし、数年前から美容業界が着目しているところは、「肌の奥」(真皮層)からさらに先へ進んだ、「細胞」レベルへの働きかけなのです。

 わたしは10年ほどスキンケア&メイクカウンセリングに携わってきましたが、社内で新しい美容液やメイクアイテムが発売されるたびに事前研修があり、そこで主成分についての勉強会やメイク方法の落とし込みなどをその都度受けていました。このようにして、新しく開発された美容成分をいち早く知ることができる環境にいたわけですが、そのなかでいちばん画期的だったものが「レスベラトロール」という成分でした。これはサプリメントに配合されるため、内服する成分になるのですが、その落とし込み内容がなんとも画期的。

 「この成分をサルに与えたら歳とっても背筋シャキーン」。この解説とともに、一般的な高齢のサル(左側)とレスベラトロールを与え続けた同年齢のサル(右側)との比較写真が添付されていました。それがなんと!顔の皮膚がシワシワで背筋が丸っこくなっている左側のサルに対して、右側のサルは顔の輪郭もシャープなままで背筋がピーンと伸びて若々しい容姿を保っていたのです。

 このレスベラトロールは、なんと遺伝子レベルに働きかける成分なのです。

 

 生体には、若々しさを保つ「サーチュイン遺伝子」(長寿遺伝子)というものがあります。この遺伝子は、ふつうにしていては活性されることがないため、スイッチをonするには軽い飢餓状態をつくりださなければなりません。例えば、食事量を制限したり、または食事の間隔を15時間近く大幅に空けることで、「このままでは生きられない」という危機感を体に感じさせるのです。こうすることでサーチュイン遺伝子は活性化されるのだそうです。美容やダイエットに詳しい方には、よく知られている方法ですが、この軽い飢餓状態を作り出すことでサーチュイン遺伝子を目覚めさせ、老化を遅らせるという仕組みです。そして、研究成果により「レスベラトロール」というポリフェノールの一種である成分が、この活性にも効果があると実証されたのです。もちろん、サプリメントは医薬部外品ではなく食品扱いとなるため、その効果を大きく謳うわけにはいきません。また、サプリメントは個人の体との相性もあるため、必ずすべての人に同じ効果があるとはいえません。ですから、お客様への訴求方法も「効くんですよ」ではなく、「おすすめです」で留めておかなければなりません。あの背筋シャキーンのサルの写真のことも、公言してはいけないことになっていました。こんなに効果が実証されているのに、医薬部外品ではないためにはっきりお伝えできないとは!いつもモヤモヤしながらお客様におすすめしていたものです。。。

 

 そしていま、もうひとつ注目されている画期的な成分が「プロテオグリカン」です。これも数年前からジワジワと噂されていた成分なのですが、最近になり、頻繁に美容液やドリンクに配合される動きが出てきました。

こちらは細胞に働きかける成分であり、肌の「貯水力」を高める効果が期待できます。水分を保持する成分としては、これまでヒアルロン酸が圧倒的な信頼と人気を得ていました。ヒアルロン酸を1グラム持っていると、そこに6リットルの水分を保持できるという貯水系成分です。プロテオグリカンは、このヒアルロン酸を大きく上回る機能を持っているとのことです。水分をたくさん含んだ肌は、水をたくさん吸収したスポンジのようにふっくらとしたハリ感と透明感を湛えます。これはかなり期待できる成分ですね!

 

 これらの成分のように、肌の奥(真皮層)を超えて細胞や遺伝子レベルにまで働きかける美容成分。

こうしてまた人類が進化し、そのうち「加齢できない悩み」なんかも出てきたりするのかなと、ちょっと不思議な気持ちになりました。